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2018年前期、世界経済の舞台で米中貿易摩擦が勃発し、金融市場に大きな波紋を投げかけました。トランプ大統領が中国製品に対して通商法301条に基づく追加関税措置を発表したことを皮切りに、米中貿易摩擦が本格的に始まったこの動きは、金融市場に即座に反応を引き起こし、特に中国市場において高いシェアを持つ企業の株価が急落することにつながったのです。
アメリカは中国の不公正な貿易慣行を批判し、知的財産権の保護や技術移転の強要停止などを要求しました。一方、中国も対抗措置として米国製品への関税引き上げを発表し、両国の対立は急速にエスカレートしていきました。特に金相場は、この地政学的な緊張関係に敏感に反応しました。米中貿易摩擦の発生から金相場への影響、そしてその後の展開について詳細に分析していくので参考にしてください。
2018年前期の米中貿易摩擦が勃発しました。この摩擦の発端は、ドナルド・トランプ大統領(当時)が中国の不公正な貿易慣行を批判し、大規模な関税措置を発表したことです。3月には、中国からの輸入品に対して250億ドル相当の関税を課すと宣言し、対して中国も同規模の報復関税を発表しました。
この一連の動きは、世界経済に大きな不確実性をもたらしました。両国は世界最大の経済大国であり、その対立は単に二国間の問題にとどまらず、グローバルなサプライチェーンや金融市場全体に波及効果を及ぼしたのです。特に、中国からの輸入に依存していた多くの米国企業にとって、この貿易摩擦は深刻な影響を与えることになりました。
世界第2位の経済規模となった中国に対して、ハイテク分野の面でもアメリカが強い警戒米中の覇権争いがあり、米中貿易摩擦勃発の大きな要因となったのです。
2018年7月、アメリカのトランプ政権は中国に対して制裁関税をおこないました。制裁関税とは、特定の国からの輸入品に対して通常よりも高い税率を課すことです。アメリカ政府は、中国による知的財産権の侵害を理由に、中国からの輸入品340億ドル相当に対して25%の制裁関税を適用しました。
知的財産権とは、発明や創作物に対する権利のことで、特許権や著作権などが含まれます。アメリカ政府は、中国企業がアメリカ企業の技術や知的財産を不当に利用していると主張。
制裁関税の適用は7月にとどまらず、8月には中国からの輸入品160億ドル相当に対して25%の制裁関税を追加で適用しました。さらに9月には、中国からの輸入品2,000億ドル相当に対して10%の制裁関税を適用しました。
一方、中国政府もアメリカの制裁関税に対して報復措置をとりました。7月と8月は、アメリカと同じ税率の報復関税を実施したほか、9月には、アメリカからの輸入品600億ドル相当に対して5%から10%の報復関税を行ったのです。
金相場は、米中貿易摩擦の影響を受けて変動しました。一般的に、金は経済的な不確実性が高まると価格が上昇する傾向があります。また、貿易摩擦が激化すると、世界経済の先行きに対する不安が高まり、投資家がリスク回避のために金を購入する動きが強まることが特徴です。
2018年前半、金価格は比較的安定していましたが、7月の制裁関税発動後、徐々に上昇し始め、8月から9月にかけて、追加の制裁関税が発表されるたびに金価格は上昇傾向を示しました。
ただし、金価格の上昇は一時的なものにとどまりました。アメリカ経済が堅調だったことや、米ドル高の影響で、金価格の上昇は限定的であり、米ドル高は金の割高感を生み、金の需要を抑制する要因となったのです。
米中貿易摩擦と金相場の動きは、企業経営に多大な影響を及ぼしました。特に、国際取引に関わる企業や原材料の調達を海外に依存している企業にとって、この状況は大きな課題です。 多くの企業が、サプライチェーンの見直しや為替リスクの管理強化を迫られました。一部の企業は、中国以外の国々からの調達を増やし、リスクの分散を図ったほか、為替変動リスクをヘッジするために、金融商品を活用する企業も増加しました。さらに、貿易摩擦の長期化を見越して、生産拠点の移転や新規市場の開拓を検討する企業も現れたのです。
2018年前期以降も、米中貿易摩擦は継続し、時に激化しました。7月には両国が追加の関税を発動し、緊張関係はさらに高まった状況下で、金相場は徐々に上昇していったのです。 年後半になると、世界経済の減速懸念が強まり、株式市場も不安定な動きを見せ始めましたことに伴い、投資家のリスク回避姿勢が強まり金への需要が増加したのです。2018年12月には、金価格は年初来高値を更新するに至りました。 この動きは、経済の不確実性が高まる局面では、金が依然として有効な資産分散の手段であることを示しています。
米中貿易摩擦は、世界経済全体に影響を与える重要な出来事でした。金相場にも顕著な反応をもたらし、金価格は一時的な上昇を見せたものの、その後は比較的安定した推移を続けましたが、貿易摩擦の長期化と世界経済の不確実性の高まりにつれ、年後半には金価格が上昇していったのです。今後も続く可能性のある地政学的リスクに備え、金融市場の動向を注視し、適切な対応を取ることが重要です。
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