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世界経済が激動の時代を迎える中、金は伝統的な安全資産としての地位を確立し、投資家の間で再び注目を集めています。2019年から2023年にかけて、世界中でパンデミックや地政学的緊張、インフレなど多くの不確実性が市場を揺るがしました。こうした状況において、金相場が果たす役割とその重要性について詳しく解説します。
2019年以降、世界経済は前例のない不確実性に直面しました。COVID-19パンデミックの発生、ロシア・ウクライナ紛争勃発、記録的インフレ率上昇など複数の危機が同時期に起き、市場は混乱を極めたのです。 さらに、2020年初頭、パンデミック拡大により株式市場は急落、多くの投資家がリスク回避のため金を購入したのです。金価格は上昇し、2020年8月には1オンスあたり2,075ドルに達し史上最高値を記録。また、各国政府が景気刺激策を打ち出し貨幣供給量増加によりインフレ懸念が高まると、金はインフレヘッジ手段としても注目を浴びました。
COVID-19パンデミックが落ち着き始めた2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻により、世界金融市場は再び大きな変動に見舞われたのです。西側諸国がロシアに厳しい経済制裁を科したことで、各国は外貨準備の多様化を進める必要性に迫られています。そこで、中央銀行による金購入が加速し2022年の年間購入量は1,000トンを超える結果となりました。 特に中国やロシア、トルコ、インドといった新興国の中央銀行が金準備を拡大したことは、金の価格を高める要素となっているのです。新興国の国々は米ドルの信用リスクや地政学的リスクを考慮し、金をより戦略的資産として位置付ける傾向が強まっています。
金相場は中央銀行の金融政策に大きく左右されます。特に米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定は、金価格に直接的影響を与える主要因なのです。 2020年から2021年、パンデミック対応のため世界各国の中央銀行が政策金利を引き下げたことで、金の相対的魅力が向上しました。2022年以降、インフレ抑制のためFRBは利上げを開始し、政策金利を0.25%から5.5%まで引き上げる措置をとりました。 一般的に金利上昇時は無利息資産である金の投資魅力が減少しましたが、高インフレ状況では、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いた値)が低下するため金の価値が維持される傾向があるのです。
2019年から2023年の期間、中央銀行による金保有戦略は大きく変わりました。かつては金準備を減らす傾向にありましたが、2008年の金融危機以降、各国中央銀行は金準備増加方針へ転換したのです。2022年には世界中央銀行による金購入量が1,136トンに達し、1967年以来最高水準を記録しました。特に中国やロシアは、外貨準備多様化戦略の一環として金を戦略的資産と位置づけているのが現状です。
2021年後半から2023年にかけて、世界経済は40年ぶりの高インフレに直面することとなりました。需要回復やサプライチェーン混乱、エネルギー価格高騰などの要因が重なり、各国の消費者物価指数(CPI)は急上昇の一途をたどっています。
歴史的に金はインフレ率高騰時に良好なパフォーマンスを示す特徴があります。1970年代オイルショック時には、金価格が10年間で約1,500%上昇したのです。2021年から2023年の高インフレ環境でも、金は価値を保ちポートフォリオ安定性に貢献しました。
ビットコインなどの暗号資産が注目を集める中、金の役割にも変化が見られるようになっています。2019年から2023年の間、暗号資産市場は急成長し一部投資家が資産保全手段として暗号資産を選択する傾向が強まったのです。 しかし2022年に暗号資産市場が急落し、FTXの破綻などが発生したことで多くの投資家が金の安定性と長期的信頼性を再評価する動きが出てきました。暗号資産が大きな価格変動を示す中、金は安定した値動きを維持し市場全体が大きく下落する局面でも安定した価格の推移を見せたのです。
2019年から2023年の市場環境は、ポートフォリオ多様化の重要性を改めて投資家に認識させる結果となりました。株式と債券が同時下落という従来の相関関係が崩れた場面もあり、金のパフォーマンスは特に注目に値するものです。
金は株式市場との相関が低いか逆相関を示すことが多く、ポートフォリオリスク低減に役立ちます。2020年コロナショック時には、S&P500が30%以上下落する一方で金は価格維持後に上昇したのです。2022年には株式と債券が同時に大幅下落する場面でも、金を含むポートフォリオは安定したリターンを確保できました。
2019年から2023年の経験は、長期投資戦略における金の役割を再評価する機会であるといえるでしょう。金は短期的価格変動があるものの、長期的には購買力維持特性を持っています。 世界経済フォーラムのレポートによると、過去50年間で金は年平均7.7%のリターンを生み出し、インフレ率を上回るパフォーマンスを達成しているのです。また、2000年以降の長期的トレンドでも、金は主要資産クラスの中で安定したリターンを提供し続けています。
2019年から2023年の世界経済激変期を通じて、金は安全資産としての役割を改めて証明する結果となりました。パンデミックによる市場混乱、地政学的緊張の高まり、記録的インフレなど様々な危機に直面する中、金は価値保存手段として機能しポートフォリオ安定性に大きく寄与したのです。
また、世界経済の多極化が進む中で、国際通貨システムにおける金の役割も再評価される可能性が高まっています。投資家にとって金は短期的避難先ではなく、長期的資産配分の重要要素として位置づけるべきでしょう。経済不確実性が高まる時代においては、金のような実物資産の持つ価値保全機能の重要性が一層増していくことが予測されます。
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