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2018年から2020年にかけての金相場の変遷を、当時の世界を覆った二つの大きな出来事である米中貿易戦争の激化と新型コロナウイルス感染症のパンデミックといった視点から見ていきましょう。
長年に渡る貿易摩擦による経済の不確実性とパンデミックによる世界的な混乱によって、投資家はリスク回避を目的として安全資産とされる金を購入する機会が増えたのです。本記事では、期間の金価格の動きを理解することで、地政学的な緊張と世界的な危機が金市場に与える影響を明らかにしていきます。

2018年から2019年は、米中貿易戦争が激化しました。そのため、為替変動が起こり金相場の高騰につながったのです。
2018年、アメリカによる中国製品への追加関税をきっかけとして本格化した米中貿易戦争は、世界経済における今後の先行きに対する不透明感を急速に高めることになりました。世界経済の二大国である両国の対立は、国際的な貿易秩序を揺るがし企業活動や投資家など多くの人に大きな影響を与えました。
経済の不確実性が増す中で、投資家はリスク回避の動きを強め安全資産としての金への資金流入を増加させたのです。アメリカが中国からの輸入品に追加関税を発表した際には、金相場は上昇しました。このように貿易摩擦の長期化と激化は、世界経済の成長が鈍ることへの懸念を増幅させ、インフレヘッジとしての金の需要も高める要因となったのです。したがって、米中貿易戦争は、金価格を押し上げる重要なきっかけとなったといえるでしょう。
米中貿易摩擦の激化は、為替市場にも大きな変動をもたらしました。従来であれば、経済の不確実性が高まると安全資産とされる円が買われる傾向があります。しかし、2018年から2019年にかけての貿易摩擦が起こった時期は、円高ドル安が進む場面が見られました。
金はドル建てで取引されるためドル安はドル建ての金価格の上昇を意味しますが、円高は日本国内での金価格の上昇を抑える要因となります。ドル建ての金価格が上昇した時期であっても、円高の影響によって国内の金価格の上昇は比較的緩やかになる場合もあります。
しかし、貿易摩擦によるリスクを軽減したい心理は根強く、円高の影響がありながらも国内金価格も徐々に上昇していったのです。
2019年には、米中貿易摩擦に加えて、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の転換や中東情勢の不安定になったことも金価格の上昇を後押しする要因となりました。一般的に、利下げは金利のつかない金への投資需要を高めるため、金価格の上昇につながります。加えて、中東地域における地政学的な緊張の高まりは、安全資産としての金への需要を高めていったのです。

2020年には新型コロナウイルス感染症のパンデミックが世界中に広まったことや、中央銀行の金融緩和やサプライチェーンの混乱も金価格変動を加速させました。
2020年初頭に発生した新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界経済に大きな混乱をもたらしました。各国でロックダウンなどの厳しい行動制限があったことで、各国の経済活動は大幅に停滞したうえに、サプライチェーンは寸断され、企業の生産活動や消費者の購買活動は大きな打撃を受けたのです。
経済が急激に悪化したことで金融市場に大きな不安をもたらし、投資家は安全資産への逃避として、金の価値を再認識させるきっかけとなりました。このように、パンデミックの深刻化は世界経済全体のリスクを高め、金価格を押し上げる主要な要因となったのです。
パンデミックによる経済の下落に対応するため、世界各国の中央銀行は大規模な金融緩和政策を実施しました。例えば、政策金利の引き下げや量的緩和などが積極的に行われたことで市場に大量の資金が供給されました。
金融緩和は、一般的に貨幣の価値を下げるため、相対的に実物資産である金の価値を高める傾向にあります。また、低金利になると利息を生まない金の保有コストを低下させることで投資の魅力を高めることが一般的です。
このような背景から各国中央銀行の積極的な金融緩和策は、金価格を歴史的な高値へと押し上げる大きな要因となったのです。2020年8月には、ドル建て金価格は一時2,000ドルを超える史上最高値を記録し、国内金価格も高値を更新しました。
2018年から2020年の金相場の変遷は、米中貿易戦争の激化と新型コロナウイルス感染症のパンデミックという二つの大きな出来事が金価格に大きな影響を与えています。貿易摩擦による世界経済の不確実性の高まりは、安全資産としての金需要を高めたことで価格を上昇させました。
さらに、パンデミックの勃発は、世界経済の混乱と各国中央銀行の大規模な金融緩和を引き起こし、金価格を歴史的な高値へと押し上げたのです。地政学的なリスクと世界的な危機が投資家の心理と市場の動向に深く関わっており、今後の金相場を分析するにあたって世界情勢の変動と金融政策の動向を注視していくことが重要です。
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