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2014年から2017年の期間で起こった世界的な金融緩和の流れが、金相場にどのような影響を与えたのかを分析します。リーマンショック後の景気回復を目的として主要先進国がおこなった大規模な金融緩和策は、市場に大量の資金を供給することでさまざまな資産価格に影響を及ぼしました。安全資産とされる金も例外ではなく、各国の金融緩和政策の具体的な内容とそれが金相場の変動にどのように作用したのかを詳細に検証していくので参考にしてください。

2024年から2025年にかけて、アメリカの経済が回復に向かい金融緩和が縮小されました。しかし、日本と欧州では金融緩和策が進められた結果円安ドル高が進んだのです。また、低インフレにより金の価値がそれほど上がらなかった時期でもあります。
2014年、アメリカ経済が回復しつつある中アメリカの中央銀行である連邦準備制度(FRB)は、景気復活のために実施してきた量的緩和(QE)の段階的な縮小を開始し、同年10月には量的緩和を終了しました。
量的緩和の終了は市場への資金供給を減少することでもあり、一般的には金利の上昇要因となります。金は利息を生まない資産であるため、金利が上昇すると相対的な投資魅力が低下し価格が下落する傾向があるのが要因です。
量的緩和縮小の意向を発表してから、金価格は緩やかな下降線を辿りました。経済の安定化と株価の上昇といった環境にあるほか、金の需要が一時的に縮小したことも金価格の下落につながったのです。
一方、日本と欧州では、アメリカとは対照的に大規模な金融緩和策が積極的に進められていました。日本銀行は量的また質的金融緩和を拡大したほか、欧州中央銀行(ECB)も新たな資産買い入れプログラムを開始した時期です。
それぞれの金融緩和策によって自国通貨の価値を下げる結果となり米ドルに対して円やユーロが売られるドル高の傾向を強めることになったのです。金はドル建てで取引されており、ドル建てである金価格の上昇を抑える要因となります。そのため、アメリカの金融緩和縮小による金利上昇圧力と日欧の金融緩和によるドル高によって、この時期の金価格が上がりづらくなりました。
主要先進国では全体的に低インフレ環境が続いていました。インフレとは、モノやサービスの価格が継続的に上昇する経済現象であり、一般的にインフレ懸念が高まると実物資産である金はインフレヘッジの手段として買われる傾向があります。
しかし、この時期はインフレ率が低水準で推移したため、積極的に金を購入する傾向がなかったのです。また、経済が安定することで投資家はより高いリターンが期待できる株式などのリスク資産に資金が流れやすくなりました。したがって、低インフレ環境は金需要が高まらないことから金価格の伸び悩みにつながったと考えられるでしょう。

2016年はアメリカの金融政策の変化、また日本と欧州によるマイナス金利政策などによって金価格は反発した時期です。
2016年に入ると、アメリカの金融政策に変化が見られました。当初、FRBは景気が回復したことによって利上げを進める方針でいましたが、世界経済の不透明感や金融市場の不安定から利上げのペースは上がりませんでした。
また、利上げが進まないことでドル高の進行を抑えてドル安が進み、ドル建ての金価格を下げることにつながります。ドル安によって他の通貨を持つ投資家にとって金の購入価格が相対的に下がったことで需要が増加するため、2016年のアメリカの利上げ見送りはそれまで下落傾向にあった金価格を上げる要因となったのです。
一方、日本銀行と欧州中央銀行はデフレ脱却を目的としてマイナス金利政策を導入しました。マイナス金利は、金融機関に融資を促し経済活動を活性化させることが目的です。一方で、預金金利の低下や金融機関の収益悪化といった副作用ももたらしたのです。
このような状況下で価値が下がりにくいとされる金は、相対的に魅力が高まりました。マイナス金利政策は安全に資産運用ができる金の価値を改めて認識させるきっかけとなり、価格を押し上げるきっかけとなったのです。
2014年から2017年の金相場は、アメリカの金融緩和縮小と利上げ、日欧の大規模な金融緩和という対照的な動きが大きく影響しました。2014年から2015年はアメリカの金融引き締めが金価格に影響し金の価値は下落しましたが、2016年にはアメリカの利上げ見送りや日欧のマイナス金利政策、世界経済の不透明感と地政学リスクの高まりが金価格を押し上げる要因となりました。
さらに、2017年には、アメリカの緩やかな利上げと欧州が金融緩和縮小するといった噂があったものの、金価格は比較的安定した推移を見せました。この期間の分析を通じて金融緩和の規模や方向性によって、金相場に複雑な影響を与えることが明らかになったといえるでしょう。
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