2014年から2017年にかけて、世界経済は金融緩和政策を軸に展開しました。この期間、主要国の中央銀行は金利の引き下げや量的緩和を実施し、世界の金融市場に大きな影響を与えました。特に金市場においては、これらの金融政策がどのように影響を及ぼしたのかが注目されました。金は、インフレ懸念や経済の不確実性に対する手段として、多くの投資家に選ばれる資産となりました。
本記事では、2014年から2017年における金融緩和政策が金相場に与えた影響について詳しく分析し、投資家としての視点から金の価値をどのように捉えるべきかを解説します。
この章では、金融緩和政策を先進国が進めた背景と影響について解説していきます。また、金融緩和政策を進めたことでインフレを起こす可能性があり、金の需要が高まる結果となったのです。
金融緩和とは、中央銀行が金利を引き下げたり、市場にお金を供給したりして、経済を刺激するための政策です。特に量的緩和(QE)は、中央銀行が国債や企業の債券などを購入することで、市場に大量の資金を流通させる手段です。このような政策が取られる背景には、経済の成長を促すため、インフレ率の目標達成、または景気低迷の解消などがあります。
2014年から2017年にかけて、特にアメリカ、欧州、日本などの先進国が金融緩和政策を積極的に推進しました。米連邦準備制度(FRB)は、低金利政策を続け、さらにQEを実施。一方、欧州中央銀行(ECB)も量的緩和に踏み切り、日銀はマイナス金利政策を導入するなど、各国は一斉に金融緩和を強化したのです。
金融緩和は、理論的にはインフレを引き起こす可能性があります。市場にお金が大量に供給されることで、物価が上昇することが予想されるためです。金はインフレ対策として歴史的に重宝されており、インフレ懸念が高まると金の需要が増加する傾向があります。特に低金利政策が長期化すると、投資家は例えば債券などの他の資産に対する利回りの低下を受けて、金をはじめとしたリスクの少ない資金をシフトさせることが多くなります。
金融緩和が進むと、金相場に対してどのような影響が現れるのでしょうか。一般的に、金融緩和が進むことで金利が低くなり、金の魅力が高まります。金は金利の支払がないため、金利が低い環境下では相対的に魅力が増すだけでなく、金融緩和により通貨の価値が下落することもあり通貨の価値が下がると金に対する需要が高まります。
次に、2014年から2017年にかけての金融緩和政策が金相場にどのような影響を与えたかを具体的に分析していきましょう。
2014年、金相場は比較的安定していましたが、価格の上昇には限界がありました。同年に、米国の経済回復が進みFRBは量的緩和を縮小し始めましたが、欧州と日本の経済は依然として低迷しており、これにより金融緩和は続いていました。金利が低いままであり、インフレ懸念がそれほど高くない状況では、金相場は上昇しにくい状況だったのです。
この時期の金相場は、1gで4,345円〜5,124円の幅で推移し、投資家の間で金に対する需要は依然として一定ありましたが、大きな上昇は見られませんでした。
2015年になると、金相場は反発を見せました。この年、米国の利上げが現実味を帯びてきましたが、利上げの実施が遅れるとの予測が広がり、金への需要が再び高まったほか、経済の不安定さ、特に中国経済の減速が金相場を支える要因となったのです。
また、欧州中央銀行(ECB)の追加金融緩和策や、日銀の金融緩和政策の強化が金価格を押し上げる要因となり、金相場は2015年において約10%以上の上昇を見せました。
2016年は、金相場にとって大きな転機となった年でした。特に、英国のEU離脱(Brexit)や米国大統領選挙の結果など、政治的不確実性が高まったことが金相場を大きく押し上げました。金は、リスク回避の資産としての需要が急増し金相場は急騰する結果となったのです。
加えて、FRBは利上げを見送り、低金利環境が続くとの見通しが広がったことで、金はますます魅力的な投資先とされ、金相場は2016年に大きな上昇を記録しました。
2017年に入ると、金相場は若干の調整を受けました。米国の景気回復が進み、FRBは利上げを実施し始めたことで、金相場は一時的に下落する場面がありましたが、世界の政治的な不安定さや、依然として低金利政策が続く状況から、金相場は比較的安定した動きを見せました。
この年の金相場は、1,200ドルから1,300ドルの範囲で推移し、特に大きな変動は見られませんでしたが、金は依然としてリスクヘッジの資産として高い注目を集める結果となったのです。
2014年から2017年にかけての金融緩和全盛期において、金相場は様々な要因に影響を受けました。特に、低金利政策や量的緩和によって金への需要は高まり、政治的不安定さや経済の不確実性が金相場を押し上げたのです。特に2016年には、Brexitや米国大統領選挙の影響で金相場が急騰しましたが、2017年には金利の上昇とともに調整が入りました。
投資家にとって、金はリスクヘッジの資産として、金融緩和政策が続く中で非常に重要な位置を占めていました。金相場を予測する上で、今後も中央銀行の政策動向や世界経済の動きに注目することが必要です。
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