
スロベニアは、多くの国と国境を接する小国です。日本からも遠いためあまりなじみがありませんが、どんな歴史や産業があるのか見てみましょう。

スロベニアの面積は約20,273平方キロメートルで、日本の四国とほぼ同じ大きさです。その中に約210万人が暮らしています。バルカン半島の北部に位置し、北はオーストリア、東はハンガリー、南はクロアチア、西はイタリアと国境を接しています。
北部のオーストリアとの国境にはアルプス山脈の東端があり、ドナウ川の支流であるサヴァ川が流れています。国土の60%以上が森林に覆われており、ヨーロッパでも特に自然が豊かな国です。
ジュリア・アルプス山脈に位置するトリグラウ山は国内最高峰であり、スロベニアのシンボルでもあります。この山はスロベニア唯一の国立公園であるトリグラウ国立公園の中心にあります。また、南西部には「カルスト地形」の名の由来となった石灰岩の台地が広がり、20km以上にわたるポストイナ鍾乳洞があります。

スロベニアの国民の80%以上がスロベニア人で、他にセルビア人やクロアチア人が住んでいます。第二次世界大戦後、セルビアなどと共に社会主義体制のユーゴスラビア連邦を結成しましたが、セルビア人との対立が原因で1991年に独立を果たしました。
1992年にはクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナと共に国連に加盟し、2004年にはNATOとEUにも加盟しています。

スロベニアは旧ユーゴスラビアの中で最も工業化が進んだ国であり、一人当たりの国民総所得は中東欧の中では最高水準です。主な産業には自動車や輸送機械、電気機器、医薬品、金属加工が含まれ、観光も重要な産業となっています。
輸出の約75%はEU向けで、2007年にはユーロを導入しました。また、農業ではホップ(ビールの原料)の栽培が盛んで、2019年には世界第7位の生産量を誇っています。
首都リュブリャナは国の中央部に位置し、ルネッサンスやバロック様式の建物が残る美しい旧市街があります。
公用語はスロベニア語ですが、ほとんどの国民がドイツ語、イタリア語、ハンガリー語を話し、英語も広く通じます。このため、スロベニアは「バルカンのスイス」とも称されています。

スロベニアは、わずか1世紀の間に4つの大国の支配を受けるという、波乱に満ちた歴史を歩んできました。1335年にリュブリャナはハプスブルク家の支配下に入りましたが、ナポレオン戦争の期間(1809年~1813年)にはフランス第一帝政のイリュリア州の首都となりました。
1918年のオーストリア・ハンガリー帝国の崩壊後、リュブリャナはセルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国(後のユーゴスラビア王国)の一部となり、1941年4月にはイタリアに占領されました。
第二次世界大戦後は、ユーゴスラビア連邦人民共和国のスロベニア人民共和国の首都となり、1991年6月には旧ユーゴスラビアから独立を果たしています。
スロベニアは、特にヴェネツィア共和国やハプスブルク帝国の影響を強く受けながらも、多様性に富んだ独自の文化を育んできました。また、その豊富な鉱物資源や産業、文化は国を支える要素ともなっています。
たとえば、ウィーンの宮廷パレードに登場する白馬、リピツァーナもスロベニア原産です。このような背景から、スロベニア人は自国の遺産や文化的アイデンティティに誇りを持っています。
一般的には「小国が大国の影響を受ける」と考えられがちですが、スロベニアの場合は必ずしもそうではありません。彼らは周囲に対しても影響を与えており、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。
多様な文化背景を持つスロベニア人は、異文化に対しても理解が深く、非常にオープンで親切です。自他共に認める負けず嫌いで、少し皮肉を交えることもありますが、悪意はありません。また、人との距離感は日本人に似ています。

豊かな自然に恵まれたスロベニア。その緑の豊かさは、空港からリュブリャナ市街へ向かう車窓からも感じられます。近年、スロベニアでは環境対策に積極的に取り組んでおり、2011年には欧州環境機関の本部がリュブリャナに移転しました。
特に注目すべきは、ゴミ対策の先進性です。ゴミは5つに分別され、生ゴミは堆肥となり、それ以外はすべて埋め立てられます。焼却は行われず、ゴミ箱は地下4メートルに設置されているため、悪臭の心配もありません。
また、温室効果ガスの排出削減に向けた取り組みも目を惹きます。かつてスロベニアの大手スーパー「メルカートル」の社長だったヤンコヴィッチ市長は、その独自の発想と行動力で知られています。観光バスが利用していたコングレス広場(チヴォリ公園の下)には巨大な駐車場が建設され、リュブリャナ旧市街への車両の立ち入りは厳しく制限されています。
その結果、車両が通行しないリュブリャナの市街地は観光に非常に適しており、ショップを巡りながら歩いても車に気をつける必要がほとんどありません。子供連れでも安心して歩けるのは大きな魅力です。また、リュブリャナ川沿いには美しい遊歩道も整備されており、訪れる人々は想い想いに散歩を楽しんでいます。

スロベニアでは、金貨がほとんど作られてこなかったようです。そのため、アンティークコインと呼べるようなコインも世に出回っていません。しかし、金保有量はそれなりにあります。
2024年12月末時点でのスロベニアの金保有量は3.2トンで、外貨準備に占める金の割合は9.4%です。世界全体の中央銀行や公的機関による金保有量の中で、スロベニアが占める割合は0.009%となっています。これまでは作られていなくても、金は保有しているので、今後金貨が鋳造される可能性は十分にありそうです。
スロベニアは大国に脅かされ、時には大国を脅かす存在でもありました。周囲を海に囲まれた日本では、想像もつかないような歴史を、スロベニア人は歩んできたようです。
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