
2015年から2017年は、世界的にテロ事件が頻発し、地政学的なリスクも高まったなった時期であり、金融市場はこれらの要因に大きく左右されました。特に、安全資産としての側面を持つ金は、価格が変動する傾向を示しました。本記事では、この期間における主要なテロ事件と地政学リスクの動向を紹介したうえで、金価格にどのような影響を与えたのかを分析します。

2015年から2017年はパリ同時多発テロやブリュッセル連続テロ事件など、多くのテロ事件が発生した時期です。世界的な情勢や経済などが不安定になることで、金の価格がどのように動くのか、それぞれのテロ事件を例にご紹介していきます。
2015年11月に発生したパリ同時多発テロ事件は、全世界に大きな衝撃を与え金融市場にも一時的な動揺をもたらしました。事件発生直後安全資産への逃避の動きが強まり、金価格は一時的に上昇しました。投資家は、テロという予測不可能な事態が今後の経済や社会情勢に与える影響を懸念し、リスク回避的な行動を取ったと考えられます。
しかし、その後の市場は比較的落ち着いた状況となり金価格の上昇幅は限定的なものに留まりました。欧州中央銀行(ECB)による金融緩和政策への期待感や、事件が世界経済を大きく揺るがすものではないとの見方が広まったためと考えられます。それでも、パリ同時多発テロ事件は、地政学的なリスクが突発的に高まった際に、金が安全資産としての役割を果たす可能性をあることを示す事例となりました。
2016年3月に発生したブリュッセル連続テロ事件も、ヨーロッパにおけるテロの脅威を改めて認識させる出来事となり、金融市場に一時的な影響を与えました。この事件後も、投資家の間で安全資産を求める動きが見られ、金価格は一時的に上昇しました。
パリのテロ事件と同様に、テロという行為がもたらす社会的な不安やそれが経済活動に与える潜在的な悪影響が懸念されたため、リスク回避的な投資家が比較的安全とされる金に資金を移動させたと考えられます。しかしながら、この時も金価格の上昇は一時期のものであり短期間で落ち着きを取り戻しました。市場は、テロ事件そのものよりも、その後の政治的・経済的な対応や、より広範な金融政策の動向に注目する傾向となったのです。
2016年のニーストラックテロ、ベルリンクリスマス市場テロ、さらには2017年のロンドン橋テロなど、この期間に頻発したその他のテロ事件も、その都度、金融市場に一時的な動揺を与え、安全資産である金への短期的な買い需要を喚起する要因となりました。これらの事件は、特定の地域における安全保障上の懸念を高め、投資家の心理に影響を与えましたが、その影響は一般的に短期間に限定されました。
市場は、個々のテロ事件の衝撃よりも、世界経済の全体的な方向性や、主要国の中央銀行の金融政策、そしてより大きな地政学的なリスク要因(例えば、米国の新政権の政策や中東情勢の不安定化など)の方が金の価格に影響することが特徴的です。

2015年から2017年は、テロの拡大に加えて、南シナ海問題、英国のEU離脱(ブレグジット)決定、米国のトランプ政権の誕生と保護主義的な政策の登場、北朝鮮の核・ミサイル開発など、地政学的なリスクが多岐にわたり高まった時期でもありました。これらの地政学的な緊張は、世界経済の先行きに対する不透明感を増大させ、金融市場に大きな影響を与えました。
2017年に発足した米国のトランプ政権の政策も、地政学的なリスクを高め、金市場に影響を与える要因となりました。トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、保護主義的な貿易政策や予測不可能な外交政策を展開するスタイルは、世界経済の不確実性を増大させ、金融市場に警戒感をもたらしました。特に、貿易摩擦への懸念や、国際的な協調体制の弱体化に対する懸念は、投資家のリスク回避姿勢を強め、安全資産としての金への関心を高める要因となりました。トランプ政権の政策発表や国際的な出来事が発生するたびに、金価格は短期的に変動する場面が見られたのです。
2015年から2017年にかけて、北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射実験が繰り返され、東アジア地域の地政学的な緊張が非常に高まりました。これらの挑発的な行動は、国際社会の安全保障に対する懸念を高め、金融市場においてもリスクを防ぐための動きを誘発する要因となりました。特に、北朝鮮の軍事的な行動がエスカレートする局面では、安全資産である金への買い需要が高まり、価格が上昇する傾向が見られたのです。
2015年から2017年は、世界的なテロの拡大と、ブレグジット、米国トランプ政権の誕生、北朝鮮の核・ミサイル開発といった地政学的なリスクの高まりが顕著になった時期であり、これらの要因は金融市場、特に安全資産としての金価格に様々な影響を与えました。テロ事件は一時的ながらも安全資産への逃避を招き、金価格を短期的に上昇させる要因となりました。一方、ブレグジットやトランプ政権の政策、北朝鮮情勢の不安定化といった地政学的なリスクの高まりは、より長期的な不確実性をもたらし、金価格を中期的に押し上げる、あるいは下支えする要因となったのです。
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