ジョージアと聞いて、世界地図で場所がすぐにわかる人は少ないでしょう。そんな日本になじみのないジョージアとは、どんな国なのでしょうか。
ジョージアは黒海とカスピ海に囲まれた小さな国家です。面積は北海道よりやや小さい約7万平方キロメートルで、人口は約400万人です。5000メートル級の山々が連なる大コーカサス山脈から黒海沿岸のリゾート地に至るまで、様々な自然環境に恵まれ、温暖な気候を活かしたワイン生産が盛んな国として知られています。
ロシア、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと国境を接しており、かつてはソ連(当時)を構成する共和国の1つ(当時の名称は「グルジア」)でしたが、1991年に独立を果たしました。
ジョージアがグルジアと呼ばれていた当時から、南オセチアを含むジョージアの領土の約2割は、今も実質的にロシアの支配下にあり、両国の関係は依然として険悪なままです。
ジョージアがワイン発祥の地であることは、実際のところ最近まであまり知られていませんでした。アメリカのニューヨーク・タイムズや英国のBBCなど、西洋のメディアが大々的に報じましたが、日本ではほとんど報道されませんでした。
ジョージアを知れば知るほど、1つの疑問が生じます。8000年前にジョージアで始まったワイン造りが、どうして途切れることなく続いているのかということです。
ジョージアの歴史は、周辺の大国であるイラン、トルコ、ロシアからの侵略が繰り返され、独立を失ったり属国になったりした時期もありました。その度にブドウ畑が荒廃し、ワイン造りが禁止されたことすらあったと言われています。
アメリカのエミリー・レイルズバック監督によるドキュメンタリー映画「ジョージア、ワインが生まれたところ」(日本では2019年公開)は、ソ連時代にクヴェブリでの伝統的なワイン造りがどのように危機にさらされたかを、関係者の証言をもとに明らかにしています。
ソ連はジョージア(当時はグルジア)をワインの供給基地とするため、大規模な工場を次々と建設しました。ジョージアには500以上の独自のブドウ品種がありますが、ソ連当局は栽培が容易で収穫量の多い18種類だけを許可したとのことです。このエピソードは、共産党政権の乱暴な効率重視やノルマ主義を思い起こさせます。
まさに「悪貨は良貨を駆逐する」で、大規模な工場によるワインの大量生産の裏側で、クヴェブリによるワイン造りはもはや危機的な状態に追い込まれました。しかし、1991年のジョージアの独立後、驚くべき復興を遂げました。
長い歴史の中で、恐らくジョージアのワイン造りは、何度もこのような困難な状況に直面してきたのではないでしょうか。侵略が続いても、ジョージア民族が滅亡しなかった理由は、人々の絆を守るワインと国土の象徴たるブドウ畑が存在したからかもしれません。
ジョージアには「スープラ」という独特の宴会文化が根付いています。「まず神に乾杯!」、「平和に乾杯!」、「我々の先祖に乾杯!」と、タマダと呼ばれる進行役の音頭で乾杯が繰り返され、皆で歌い上げます。結婚式でも葬儀でも、このスープラが催され、初対面の人々もまるで昔からの友人のような親しみを感じるそうです。
ジョージアはコーカサス山脈の南側、黒海の東岸に位置し、温暖な気候に恵まれているため、もともと農業が盛んでした。ワイン発祥の地でもあるジョージアで、特有の製法で生産されるジョージアワインは、他国からも高く評価されています。
ワイン生産を含む農業や、豊かな自然と歴史的遺産を活かした観光業が、ジョージアの主要な産業となっています。
ジョージアで流通している通貨は独自のラリ(GEL)で、1995年9月25日に導入されました。補助通貨単位はテトリで、1ラリは100テトリに相当するレートです。
そんなジョージアには、歴史的に価値のある金貨があるので以下にご紹介しましょう。
16世紀から19世紀にかけて、オスマン帝国とペルシア帝国の影響下にあったジョージアの地域で存在したカルトリ王国が発行した金貨です。この王国は1466年にジョージア王国の分裂を契機に成立し、長らくサファヴィー朝の臣下となっていました。
表面には王の印象と署名であるトゥグラが描かれ、裏面には現在のジョージアの首都トビリシが刻まれている、ハンマーで不規則に打たれた金貨です。ジョージアはその歴史の深さから、古い時代に発行されたアンティークコインが残っています。
ゴールデンフリースは、ギリシャの神話に登場する黄金色に輝く有翼の羊で、物語の金羊毛を象徴しています。裏面には、イアソンの冒険に関わる巨大な船アルゴー号が描かれており、地中海と黒海の地図、そしてギリシャからジョージアへの航海路が示されています。
金羊毛を探し求めて旅をしたアルゴー号をテーマにしたコインであり、100ラリに加えて、10ラリ、25ラリ、50ラリ、300ラリ、1,000ラリの額面で同じデザインのコインが発行されました。
直径37mm、重量31.11gの大型金貨で、発行枚数わずか1,050枚という希少性の高さを誇り、品位999/1000金の純金製です。
第二次世界大戦の勝利から、半世紀を迎えるにあたり発行された500ラリ金貨です。スターリン、ルーズベルト、チャーチル、ドゴールの肖像が描かれています。
直径31mm重量17gの大型金貨で、発行枚数が2,000枚しかなく、品位920/1000金の純金製金貨です。ジョージアではほんの数種類を除いて、直径30mmを超える大型の金貨が作られていないので、非常に珍しい逸品です。
ジョージアは長い歴史があり、幾度も大国の脅威にさらされてきました。ワイン発祥の地でもあるジョージアには珍しい金貨がありました。
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