フローリン金貨を模したフォリント金貨
イタリア・フィレンツェの「フローリン金貨」を模したハンガリーの「フォリント金貨」。「フォリント金貨」には「ハンガリー王国14世紀フォリント金貨」、「フランツ・ヨーゼフ1世・ハンガリー8フォリント20フラン金貨」や「バルトーク・ベーラ生誕80年記念」、「フランツ・リスト生誕150年記念」などがあります。
ハンガリー通貨の「フォリント金貨」とは
「フローリン金貨」は、最初にイタリア・フィレンツェで13世紀半ばに製造されてから、16世紀半ば近くまでイタリアで製造された金貨です。
金貨のデザインや金の品位や重量などは、ほとんど一定で品質がよくヨーロッパで最も信用され普及、その後のヨーロッパ各国のモデルになった金貨です。
「フローリン金貨」の表面には、イタリア・フィレンツェの公式図柄のユリが入っています。これが金貨の名前の由来となっています。
ところで14世紀には、ヨーロッパの多くの国が、「フローリン金貨」を模した金貨を鋳造するようになります。
これらの金貨のうち最も重要なものは、ハンガリーで鋳造された「フォリント通貨」（ハンガリーの通貨単位）の「金貨」といわれました。
当時のハンガリー王国は、ヨーロッパでほとんど唯一の金の採掘地であったためです。
当時のハンガリー通貨には、イタリア・フィレンツェの「フローリン金貨」をベースにして鋳造された「ハンガリー王国14世紀フォリント金貨」（1342～1382年鋳造）があります。
また「8フローリン20フラン金貨」（発行国：オーストリア）と「8フォリント20フラン金貨」（発行国：ハンガリー）も鋳造されていますが、これら2つの金貨の片面の肖像に当時のオーストリア＝ハンガリア王国(ハプスブルグ家)君主のフランツ・ヨーゼフ1世が描かれています。
この金貨のフランツ・ヨーゼフ1世は、オーストリア帝国の皇帝（在位1848年 - 1916年）であり、オーストリア＝ハンガリー帝国の成立後はハンガリー国王（在位1867年 ～ 1916年）を兼ねており、二つの君主国により発行された金貨となっています。
ちなみに、フランツ・ヨーゼフ1世は18歳の若さで即位。その後、在位68年間の長さと国民からの敬愛から晩年はオーストリア帝国（＝ハンガリー帝国）の国父ともいわれ、オーストリア帝国の実質的な最後の皇帝とも呼ばれています。
この他の「フォリント金貨」には、1961年に発行されたハンガリーの音楽家バルトーク・ベーラ生誕80年記念の「500フォリント金貨」や「50フォリント金貨」があります。
また当時、ショパンと人気を二分したともいわれ、ピアノの魔術師といわれたフランツ・リスト生誕150年記念の「500フォリント金貨」は、1枚の重さが約38.4グラムと大変重量のある金貨で、クラッシクファンを初めコレクターの中でも人気と高い売却価値が期待できる金貨の一つです。
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