小判は色付けされている
江戸時代を通じて10種類の小判が発行されていますが、いずれも純金ではなく、金と銀が混ざった合金でした。金品位の低い小判を金らしく見せる技術として「色揚」がおこなわれました。
金ピカの小判は、「色揚」という表面処理技術によって作られていました。
表面処理技術で金ピカの「小判」
江戸時代を通じて10種類の小判が発行されていますが、いずれも純金ではなく、金と銀が混ざった合金でした。
その混合割合は種類によってずいぶん違いがあります。
例えば一番初めの「慶長小判」では、金の割合が約87%ですが、その次に発行された「元禄小判」は、同じ大きさなのに金が約57%しか含まれていません。
この背景には、貨幣経済の発達や幕府の財政規模の拡大により、貨幣・小判の流通ニーズ増大があります。また金が高価であったことに加え、金のみでは柔らかすぎるためであったと考えられます。
こうした状況下、幕府は小判1枚あたりに使用する金の量を減らすことで発行枚数を増やそうとしました。
その後、諸々な経済的事情を背景に小判の改鋳が行われ、小判の金の割合は56％から87%の間で変動し、その重さや大きさも変化していきました。
金品位の低い小判を金らしく見せる技術の一つは、表面上の金以外の成分を薬品で除去する方法があります。
しかし、この技術で用いられた薬品および操作について、実際に金濃度56%の金銀合金を作ってみると、かなり白っぽい金属にしかならないそうです。
でも現存する小判はいずれも金色に見えています。
なぜ金色に見えるのでしょうか？
答えは「色揚」です。
小判の製造行程では、最後に「色付け」または「色揚げ」という作業が行われています。
製造行程を記した文書や絵図によると、6種類の特殊な薬品を表面に塗って炭火で焼いたあと、塩をつけてこすり水洗いを行うというものです。
こうした作業を何度か繰り返すと、表面から銀だけが溶けて取り除かれ、小判は初めて黄金色に輝きます。
金ピカの小判は、このような表面処理技術によって作られていました。
小判の表面の部分を詳細に見てみると、その表面の0.01ミリメートル以下のところで銀が完全に除去されており、表面は全て金になっていることがよく分かります。
ところで金の価値は、1998年に最安値の865円を記録してから30年、6,000円台を推移する高水準となっています。
実物自体に価値がある金は「有事の金」とも呼ばれ、価値が無価値なることはなく、資産運用対象としても重宝されます。
景気動向や社会状況が不透明・不安定になってくると、その影響をもろに受ける株式や債券などへの投資を嫌った資金が金に流入するため、金の取引価格が上ります。
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